ハイドロゲル・スペーシングについて

SpaceOAR®ハイドロゲルを用いたスペーサ留置術は、前立腺がんの放射線治療を受ける患者さんに対する選択肢となる治療法です。本品は、直腸と前立腺の間にスペースを作り、直腸への照射を低減するもので、放射線治療の開始前に注入して用います。注入は、局所麻酔または全身麻酔下で行います。SpaceOAR®ハイドロゲルは痛みを引き起こすことなく、放射線治療の実施期間中は注入した部位に留まり、放射線療法の終了後は徐々に体内に吸収されます。

欧米での臨床試験より、ハイドロゲルの安全性は高く、直腸への放射線照射量を有意に低減する十分なスペースが形成されることが明らかにされています。米国で行われたSpaceOAR®ハイドロゲルの無作為化試験では、ハイドロゲルスペーサー群は対照群に比べ、放射線治療中に直腸痛を訴えた患者は少なく、直腸の長期合併症の重症度は有意に低いことが明らかにされています。

中央値3年の追跡期間における無作為化臨床試験の所見は次の通りです。

✓直腸:中央値3年の追跡調査で直腸QOLに臨床上問題となる低下(1×MID)が見られた患者の割合が66%低下((MID = minimally important difference、臨床における最小重要差)

✓ 排尿機能: 中央値3年の追跡調査で排尿機能QOLに臨床上問題となる低下(2×MID)がみられた患者の割合が66%低下

✓ 性機能: ベースライン時に性行為に十分な勃起機能がある患者のうち、中央値3年の追跡調査で性的機能を維持している患者の割合が78%上昇

  1. Hydrogel Spacer Prospective Multicenter Randomized Controlled Pivotal Trial: Dosimetric and Clinical Effects of Perirectal Spacer Application in Men Undergoing Prostate Image Guided Intensity Modulated Radiation Therapy. Mariados, Neil et al. International Journal of Radiation Oncology • Biology • Physics , Volume 92 , Issue 5 , 971 – 977
  2. Continued Benefit to Rectal Separation for Prostate Radiation Therapy: Final Results of a Phase III Trial. Hamstra, Daniel A. et al. International Journal of Radiation Oncology • Biology • Physics , Volume 97 , Issue 5 , 976 – 985
  3. Sexual quality of life following prostate intensity modulated radiation therapy (IMRT) with a rectal/prostate spacer: Secondary analysis of a phase 3 trial. Hamstra, Daniel A. et al. Practical Radiation Oncology , Volume 8 , Issue 1 , e7 – e15